窓越しのエマ
エマに引かれるようにして、曲がりくねった坂道を黙々と上りつづける。

進めば進むほど、僕の胸騒ぎは強まる一方だ。

蝉の鳴き声がひたすら耳障りだった。


やがてスクールゾーンに入ると、僕は奇妙な感覚に襲われた。

ふと既視感を覚えたのだ。

エマとここを通るのは初めてのはずなのに、二人で歩く光景が一瞬脳裏に浮かんだ。


僕は記憶を探りつつ、辺りを見回してみた。


「どうしたの?」


エマが不思議そうに僕の顔を覗きこむ。


「いや……」


やはり、どう考えてもエマをこんなところに連れてくるはずはない。

単なる思い違いだろうと僕は結論づけた。
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