窓越しのエマ
僕が必死でストローを吸う横で、姉さんは今日の出来事やなんかを淡々と話しつづけていた。
夫の忘れものを届けに職場へ出向いたところ、姉さんが必要以上にめかしこんでいたので笑われてしまった、というような話だった。
そんな話聞きたくもなかった。
第一、僕は姉さんの夫が好きじゃない。
姉さんの夫は一度だけこの家に来たことがある。
彼は僕に向かって穏やかに笑いかけ、自分一人で勝手に作り出した和やかなムードに浸り、何の興趣もないことをさも満足気に話した。
よそ者とは一切関わりを持ちたくない僕にとって、彼と顔をあわせている時間はまるで拷問だった。
戸籍上で親族になっていようとも、僕にとって彼は永遠によそ者なのだ。
彼の一挙一動が癪に障った。
彼は姉さんの手前、『できた夫』を取り繕っていたに過ぎない。
彼が浅ましくて、軽薄で、卑しくて、矮小で、醜悪で、唾棄すべき男であるということを、僕は最初から見抜いていた。
もしもその時、僕が身体を自由に動かせていたなら、その場で彼を絞め殺していたかもしれない。
願わくば、彼には二度とこの家に足を踏み入れてほしくないものだ。
夫の忘れものを届けに職場へ出向いたところ、姉さんが必要以上にめかしこんでいたので笑われてしまった、というような話だった。
そんな話聞きたくもなかった。
第一、僕は姉さんの夫が好きじゃない。
姉さんの夫は一度だけこの家に来たことがある。
彼は僕に向かって穏やかに笑いかけ、自分一人で勝手に作り出した和やかなムードに浸り、何の興趣もないことをさも満足気に話した。
よそ者とは一切関わりを持ちたくない僕にとって、彼と顔をあわせている時間はまるで拷問だった。
戸籍上で親族になっていようとも、僕にとって彼は永遠によそ者なのだ。
彼の一挙一動が癪に障った。
彼は姉さんの手前、『できた夫』を取り繕っていたに過ぎない。
彼が浅ましくて、軽薄で、卑しくて、矮小で、醜悪で、唾棄すべき男であるということを、僕は最初から見抜いていた。
もしもその時、僕が身体を自由に動かせていたなら、その場で彼を絞め殺していたかもしれない。
願わくば、彼には二度とこの家に足を踏み入れてほしくないものだ。