恋ジグザグ~“好き”と素直に言えなくて~


やがて宴もたけなわとなり、最後におにーちゃんから締めの言葉をもらうことになった。

カウンター席に座っているあたしの背後から、“オホン”というおにーちゃんの咳払いが聞こえてくる。

「え~……、みんないろいろ忙しいはずなのに、今夜はオレのために集まってくれて本当にありがとな。これまでオレが主役となって地球の平和を守ってきたけど」

……と、ここまで言ったとき、すかさず白鳥さんがツッコミを入れた。

「ハイ、ソコおかしいです。レッドだけが主役じゃありませんから。ピンク、ブルー、それにイエローとグリーンの5人がそろって、はじめてセンタイヒーローですから」

「悪りぃ、悪りぃ。これまではオレたち5人で地球を守ってきたけど、この星のあしたは、紫苑! お前たち5人に任せたぜ!!」

「せ、センパイ……」

紫苑さんってけっこー感動しやすいタイプみたいで、その声が微かに震えていた。あたしはカウンター席に座ったまま背を向けていたけど、紫苑さんが涙目になっているのが目に見えるようだった。


「なぁ、紫苑」

「え? あらたまっれ、なに?」

「お前に“コレ”をやるよ」
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