町の片隅で～ファーストストーリー～

でも、実際聞いてみると至って普通。
むしろ良い声だと言えるほどだ。
「分かったよ。その代わり後で時間がない訳を聞かせろよな。」
「夜になれば分かるわ。」
俺の投げやりな言葉に傷ついたせいか、うつむいて小さく答えた。
どんな事情かは分からない。
今分かってる事は夜に何かしらの展開があるって事だけ。
こんな一握りの情報から連想される展開と言えば、何かに追われて夜逃げ・人混みを避けての旅行・出会った時に失敗した自殺・人(俺)の気持ちが理解出来て自首ぐらいだ。
他人とはいえ、知り合ったからには力になってやろうと思った。

服を選び終え、昔バイトしてたファミレスへ入った。
「いらっしゃいませ～…あっ！不良君！」
「宮元！？ここでバイトしてたのか！」
「うん。数ヶ月前に入ってやっと慣れてきた所。そっちの子は彼女？」
「違うよ、近所の子だ。」
「初めまして。真也の彼女の赤沢 聡美(あかざわ さとみ)です。」
「初めまして。不良君のクラス委員長の宮元 雫です。不良君、私、忙しいから勝手に座ってくれる？」