町の片隅で~ファーストストーリー~
何でいきなり怒りのバロメーターがレッドゾーンへ突入したかは分からない。
きっと難しい年頃なんだと思う。

注文を済ませ、料理が来るまでの無駄な時間が俺を苦しませる。
「な…何だよ。」
「フフフ、別に。気にしないで。」
気にするなと言われても無言で見つめられるとかなりうっとうしい。
仕方ないから話を振った。
「お前、赤沢 聡美って言うんだな。初めて知った。」
「嘘ぉ!前にも教えたよ?それよりもさっきの女何者?感じ悪い。」
「しいて言うなら強者だ。成績優秀で眉目秀麗(びもくしゅうれい)。うちの学校のマドンナ的存在だな。」
「へぇ~…あんな女が好きなんだ。」
冷たい視線で睨みをきかせる。
「何でも好きとか嫌いとかに結びつけるな。おっ!ナイスタイミング!」
運ばれてきた料理を完食し、足早に店を後にした。
無駄に長居するとまた、宮元の話題が出てきて邪魔くさい事になるからな。
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