学園(序)
ジャンルはロックで、『AVENGER』という4人組のバンドが歌っている。

最近デビューしたのだが、ヴォーカルが女性というくらいしか情報が入ってない。

でも、デビュー作の『-NAGI-』ぐらいなら知ってる。

歌詞や曲調はバンド名に恥じぬくらい激しさがある。

笹原先輩、最初から飛ばしていくんだな。

演奏が始まり、先輩が歌い始めると俺は驚愕した。

どれだけカラオケに通っているんだ。

本人達のソレと同等、いや、俺個人としては笹原先輩の歌声のほうが好きなくらいだ。

高いメロディーも難なくこなして、あっという間の4分間であった。

趣味を越えて、特技といってもいいかもしれない。

「あははは!良い気持ちー!」

食指が動くくらいに、笹原先輩の歌は素晴らしい。

「俺、先輩のこと見直しましたよ」

「あははは!生まれてきてよかったー!」

どこぞの芸人のネタをパクっているし、大げさすぎるだろ。

隣の龍先輩も感動しているみたいで、笑顔で拍手をしていた。

「部長!次だよ!次!」

「むー」

初めてだから、何を歌うか迷っているのか。

もしくは、器械オンチで操作の方法がわからないのか。

後者だったみたいで、隣の笹原先輩に操作を教えてもらっていた。

先輩も苦手な物があったんだな。

駄目なところも可愛らしく思えて仕方がない。

しかし、龍先輩がいじっている器械の画面を見ながら隣の笹原先輩は複雑そうな顔をしている。

どうしたというのか。

「えい」

決まったようで、入力し終えたものを本体に送る。

タイトルを見て、俺は先輩らしいなと思った。

誰もがよく知るみんなのうたの中の一曲だった。

和む演奏が始まると、龍先輩が歌い始める。

これまた驚いた。
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