学園(序)
「あれ、でもでも、ご飯だったらここでも頼めるよね!?もしかして!二人で何かしてたんじゃないのー!?」

笹原先輩よ、余計なことに疑問を持つなよ。

「吟ネエがさ、外に行かないと売ってない物を欲しがったんだ」

「ほう、気になるのう」

頼むからさらっと流してくれ。

「ヒントは潤いのある物アルよ」

吟ネエがヒントを出す限り、答えに辿り着くのも問題だろう。

「あ、そろそろ時間じゃないか?」

時計を見ると、カラオケBOXが終了する時間が来ていた。

時間が俺を助けてくれたのか。

「あはははは!結構、経ってたんだね!」

「楽しいと時間が経つのも早いのう」

十分前にかかってくる電話は乾がとったのか。

乾のことだから、皆に教えずに放置していたのかもしれない。

29番のプレートをカウンターまで持っていく。

もちろん、支払いは割り勘だ。

歌っていない乾もしっかりと払っていた。

でも、お金を払ってもいいくらいの歌は聴いただろう。

今日は来てよかったと喜べる部分もあったが、気になった部分もあった。

気になった部分は、本気で吟ネエの事を好きになった時にでも考えよう。

店から出ると、すでに辺りは真っ赤に染まっていた。

夜も遊ぶなら続行でもいいが、龍先輩のところは門限などが厳しそうである。

「じゃ、今日はこれで解散しましょうか」

「あははは!早い解散だね!」

「楽しかったからいいじゃないですか」

笹原先輩はまだまだ遊び足りないようである。

「そなた、ワラワのことを気にしておるのか?」

不安そうな顔をしている龍先輩だが、その通りですと答えるわけにもいかない。

「ちょっと課題がありましてね、月曜までに提出しなくちゃならないんですよ」
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