学園(序)
「ふうんアル」

特に会話を続けようってする気もないみたいだが、手は離れない。

カップルに見えるかどうかなど些細な問題だ。

他人の意見など関係ないくらいに、二人で歩くことが出来る日常が好きだった。

無理に話すことはなく、横目で吟ネエを見ていると俺の手を見たまま歩いている。

吟ネエの考えてる事は一体なんだろう。

エロい事っていうのが大多数だと思うけど、俺が指摘した心の事かもしれない。

「丞」

「ん?」

「肉まんが食べたいアル」

俺の考えてることなど、吟ネエの中にはなかったみたいだ。

帰り道にはコンビニがあって、そこに差しかかろうとしたところだった。

考えが変わったのかもしれないし、ずっと肉まんを食べたかったのかもしれない。

しかし、イカランチを三杯食べても足らなかったのか。

「解ったよ」

財布の中には肉まんくらい買うお金はある。

「はい」

肉まん代を吟ネエに渡す。

「お前にしては珍しいアルな」

確かに、普段ならば自分の金で買わせただろう。

でも、歌を聴いた事や、手を握ったことによる変化なのかもしれない。

俺が外で待っていると、吟ネエはコンビニの中で雑誌を立ち読みをしていた。

それも吟ネエかと思いもう少し待っていた。

10分くらい経ってから、肉まんを買って出てくる。

「何見てたの?」

「今週号のガンプアル」

吟ネエはガンプの単行本を集めているのにも関わらず、週刊誌でも読んでいる。

内容を知ってるのに買う意味あるのかと思ってはいるが、自分の好きな物には惜しみなく金を出すんだよな。
< 95 / 101 >

この作品をシェア

pagetop