ラブ・スーパーノヴァ
「ごめん、今日はこの子と今からデートなんだ。」

怒っている女性はどう見ても倫より年上である。

「なんですって!?今日は私の家に来るって言ったじゃない!」

「やだな、僕は言ってないよ。君が勝手に決めたんだろ。あまり大声出してると、お父様に見つかりますよ。」

女性はハンドバッグを持っている手をわなわなと震わせ、倫と青年を交互に見ていたが、青年が再び倫の腰に手をまわし、キスしようとするのを見ると諦めて去っていった。

倫はぽかーんと口を開き、一体どういうことなのかと、状況が飲み込めないでいた。

女性が去るのを見届けると、青年は大きなため息をついた。

「あーぁ、やっと行った」

倫と目が合うと、にやっと笑って立ち上がった。

「あの人、しつこくて困ってたんだ」

二重の黒目がちな瞳、漆黒の髪は綺麗にカットされて少し瞳にかかっている。

肌は白く、女の子に間違われてもおかしくないといった雰囲気だ。

倫が洋風美人なら、和風美人といった感じか・・・。
しかし、立ち上がってみると背がとても高い。顔を見ただけでは少年のようだが、全体的に見ると倫より歳上のようだった。

「ええと・・・大丈夫?驚かせたね。ごめん。」

倫ははっと我に返った。

ちょっと待てよ・・・私、つまりは女の誘いを断る手段としてキスされたってこと?

しかも、謝ってはいるが、全く悪びれた様子はない。その証拠にしきりと時間を気にして時計を見ている。
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