ラブ・スーパーノヴァ
倫が何も言わないでいると少し困ったように眉をひそめた。

「ちょっと急いでるんだ。ご迷惑をおかけしました。失礼。」

そう言って立ち去ろうとした。倫は素早くその手を掴んだ。
驚いた青年が振り返る。上目遣いで睨んでる倫と目が合う。

「あんた・・・謝り方間違ってるよ」

青年はじっと倫を見つめていたが、ああ、と気づいたといった感じで言った。

「ごめん、今、財布持ってないんだ。どうしようかな・・・連絡先教えてくれる?」

その言葉に倫は切れた。
瞬間的に青年の美しい頬を平手打ちしていた。

「・・・馬鹿にしないでよ。あのねえ、人様に迷惑かけて、本当に申し訳ないと思ってる時はちゃんと目を見て頭を深々と下げて、心から謝るんだよ!」

ましてや金で解決しようとしてるなんて!

倫は本当はもっと怒鳴りたかったが、血管がきれそうなくらい怒り浸透しており、それ以上言葉が出てこなかった。

青年も平手打ちをくらったショックで何も言えないでいた。

倫は鼻息をふーっふーっと吐き、気を落ち着けようと努めた。

次第に赤くなる青年の頬に、徐々にやりすぎたという気持ちが生じてきた。

倫は早くずらかろうと、青年を残してかばんを掴んで走り去った。
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