ハンカチ落としましたよ

そんなのありなの?1

部屋に入るなり、


彼女はベッドに腰をかけた。

それを見た
タカシの気持ちは、
徐々に昂ぶって
行こうと思ったとたん、



「私はこうなることが
わかっていたの。」


といきなり
彼女は切り出した。

「ハンカチを落とした時と、
旅行の行き先は
2箇所(函館と京都)とも
予測していなかったけど、

拾ってくれたあなたとは、
最初の函館の時に、
ピンと来たの」


と言った。


「ん?・・・・  
と言うことは、
最初から
わかっていたの?」



「そう。」


彼女は屈託のない
微笑みでこちらを
まっすぐ見た・・・。

というか見据えた。

吸い込まれそうな瞳で、

まったくこちらが
嘘をついても
見抜かれそうだった。



「ハンカチを落とした時は
本当に気がつかなかったの。
でも、
ハンカチを
拾ってくれた貴方とは、
いずれまた会うことに
なると思っていたわ。

だから私はなにも
心配はなかったの。
それで、
その間誰とも
付き合わないことに
していたのね。

そしたら、その後渋谷。
そこで確信したの。
私この人と
結婚するんだって。」



「だって・・・。僕達、
今日会ったばかりだよ。
それに、そういうのって
確信って言わないんじゃ
ないのかな?」


タカシは彼女の
なんの根拠もない会話が
どうも信じられなかった。

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