初恋のキミへ。
今日1日、どう伝えようか考えながら過ごしたらあっという間に放課後になった。
未だ決まらない伝える言葉。
例え決まっていてもそれを元輝に伝えるのは困難だと思う。
元輝の前だと、本当に離れなければいけないんだと実感してしまう。
校門で桃花たちと別れ、あたし達は見慣れた公園にきてベンチに腰掛けた。
「寒くないか?」
元輝の普段通りの優しさがあたしに寂しさを与える。
「平気。元輝の方こそ寒くないの?」
「俺は大丈夫」
言いながら、あたしの手を握った。
「こうすればあったかいから」
少し照れたような横顔。
その横顔も大好きだった。
「1つ質問していい?」
「ん?」
あたしの方を真っ直ぐ優しく見つめて微笑んでくれる。
そんな優しい笑みも大好きだった。
「もし、この先、あたしが元に戻らなかったらどうする?」
そんな質問に少し考えてから答える。
「それはない。俺がちゃんとお前を支えて治してやるから」
「治らなかったらの話。どうする?」
「考えたことなかった。…けど、もしそうだとしても俺がお前の分まで笑っててやる」
その言葉で十分だった。
あたしはもう、元輝と離れる勇気が………できたよ。