初恋のキミへ。

ラストクリスマス



12月25日。クリスマス。


朝の6時から俺たちはタケの親の知り合いの別荘へと向かった。

俺は最近免許を取った。だから今日は俺の運転で別荘まで車を走らせる。

助手席にはもちろん未波。

俺の運転に最初は警戒していたものの慣れてきたのか、俺の方ばかりを見てくる。

見られることなんか慣れてるはずの俺にとって未波に見られるとなると話は別。

あと少ししか一緒にいられないとなるともう俺を見てくれることがなくなってしまうという喪失感が俺を襲う。

今日はそんなことを忘れて未波と楽しみたいと思った。

だけどやっぱり、寂しさと別れたくないという気持ちでいっぱいになる。



…未波がいなくなるなんて考えられない。

今もその思いは無くならない。

本当は待っててほしいと言ってほしかった。

俺には待てる自信があったから…

いくら会えなくても未波と別れるよりはましだから…

それくらい、平気なのに…


いや、平気じゃないか…うん、本当は離れてしまうことが怖かった。俺を忘れてしまうんじゃないか…気持ちがなくなるんじゃないか…不安は募るばかりだから…………
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