初恋のキミへ。


「あたしね?賭けてたんだ」


「なにを?」


「あたしは初めから元輝を忘れるつもりなんてなかった。

元輝を苦しめたくなくて、寂しい想いさせたくなくて別れを選んだの。

それは元輝も知ってる。

だから待っててなんて言わなかった。

帰ってきたら、今度はあたしから気持ちぶつける気だったから。

もし、その日まであたしを想っててくれたらなあ、なんて期待してたりもしてたんだけど。

今、元輝はちゃんとあたしとの約束を守ってくれてる。

あたしがそれを望んでたんだもん。

それを壊すことなんてできない。

だからもう、会うつもりないよ。

やっと踏み出せた1歩なら尚更ね」


言いながら、笑ってみせた。

だけど2人ともそれが作り笑いだと気づいたのか黙り込んでしまった。
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