初恋のキミへ。
未波は何も発することがない。
だけど何かを考えているように見える。
だから俺は黙ったまま未波を見つめた。
するとようやく口を開いた。
「……あたしは後悔しなかった。別れたこと。
あたしが元輝と別れたのには意味があったから。
4年間ずっと、元輝の幸せを願ってた。
こうなったのを望んだのはあたし。
本当は……
元輝、あたしに言ったじゃない?俺はお前しか好きになれないって。
その言葉を信じてたんだと思う。だからちゃんと別れられた。
矛盾してるよね。だけどどっちも本心なの。
あたしには離れても好きでいられる自信があった。だから帰って、もし元輝が本当にあたししか駄目で、まだ1人だったら、今度はあたしから気持ちぶつけるつもりでいたの。
もし、あたし以外に見つけてたら会うつもりもなかったし、こんなこと言うつもりもなかった。
あの子の前じゃ彼氏いるって言ったけどあの子薄々気づいてるような気がしたから、不安になせないために言ったの。
これは元輝のためでもあるの。
やっと1歩踏み出せたときだったんでしょ?
少なくとも、あの子を好きになってたでしょ?
それでいいと思うの。
ねぇ、あたしは元輝の気持ちをかき乱すために帰ってきたわけじゃない。
彼女と別れさせる気もないの。
言ったじゃない?
あたし以外の大切な人ができたらその子を幸せにしてって」
そう言うと俯いていた顔をあげて初めて目を合わせてくれた。