初恋のキミへ。

突然の電話と過去



ついさっき元輝という男に言ってやった。


「もう関わらないで」と。


何故か一緒に帰る羽目になった私は、

いい機会だと思い、率直な思いを述べて
逃げるように家に帰った。


自分の部屋に真っ先に入り、
制服から部屋着に着替えた。

すると携帯がなった。

もう鳴るはずがないメロディと共に。

約半年ぶりに聞く"彼"を知らせる着信だった。



着信"ユウト"


私は少し躊躇しながらも通話ボタンを押した。


「…はい」


「未波?今大丈夫か?」


「うん…なに?」


「いや…謝りたくてさ」


「…いいよ、別に」


今すぐ切りたかった。

だけど彼からの連絡を待ち望んでいたのは

紛れもない、この私。

やっぱり声を聞くと、
改めて好きだと実感させられる。


「俺…やっぱりお前のこと」


「やめて!
私がどんな思いで身を引いたと思ってるの?
ユウトは私じゃなくて
亜紀を選んだんでしょ…。」


「けど俺っ!
お前と離れて分かったんだよ…
お前じゃなきゃダメだって…
話だけでも聞いてくれよ」


「…なんでそんなこと言うの?
今更話すことなんてない。
…ごめん、もう切るね。
ばいばい、ユウト」


「待て!切っ…」


私は一方的に電話を切った。
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