初恋のキミへ。


「やめてください」


「じゃあ携帯教えてくれる?」


そう聞く男の手に握られている未波の手を引き離し、俺の方に未波の肩を寄せた。


「俺のに何か用?」


男を睨み付けながら未波の肩をさっきよりも強く寄せた。


そう言った俺に男はびびったのか、何も言わずに逃げていった。


その瞬間、未波の肩を離し未波を見た。


「大丈夫か?」


「…うん。ありがと」


「何時までだ?」


「あー…もう終わるけど」


「なら終わるまでタケと待ってっから」


「…別にいいよ」


「俺がよくねぇ。終わったらすぐ着替えてこいよ。」


「…桃花もいい?」


「あぁ。早く終わらせてこい」


「…ん」


そう頷いて少し働いた後、終わったのか制服姿の未波と桃花ちゃんがきた。


「元輝くん!未波助けてくれてありがと!もう何十回と絡まれてたから心配だったの」


「あぁ。助けるのが男だし」


「ふふっ。未波もよかったね?」


「…うん。助かりました」


ぎこちない敬語に思わず吹き出した。


「お前に敬語は似合わねぇ」


「あっそ」


「お前それが恩人に対する態度かよ?」


「ちゃんとお礼言ったじゃん」


こんな会話すら幸せに感じる。

俺らの会話に笑い出すタケと桃花ちゃん。

"いいコンビじゃん"と言うタケに頷いた桃花ちゃん。それを思いっきり嫌がる未波。

"これで付き合えたら
俺は幸せすぎてやべぇな"

そんな考えを浮かべながら、4人でいろいろ回った。






この時、気づくべきだった。
あいつらの視線に。
気づいていれば…未波は今でも笑っていたはずだから。
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