初恋のキミへ。
「なんで…いるの?」
ユウトを見ながら聞く私をきっと元輝に見つめられていたと思う。だけど元輝は黙ったままだった。
「電話じゃ出てくれないから…会いに来たんだ」
ユウトはそう言って私の方へ向かってきた。
その時に初めて元輝の顔を見た。
いつもの余裕そうな顔ではなく、何か考えているような少し怒っているような複雑な顔をしていた。
「俺の話、ちゃんと聞いてくれるまで帰らないから」
「…話すことなんてない」
「俺にはある。」
「今さら何を聞けばいいの?
あの時の言い訳でもするつもり?
だったらもういいって言ったじゃない」
「それだけじゃない」
「お願いだから、帰って」
そう言って元輝の腕を引っ張って家に入ろうとした。
「待てよ!話聞けって」
ユウトは私の腕を掴んだまま離さない。
「そいつ未波の男か?」
私は黙ったまま俯いた。
「…それでもいい。話だけ聞いてくれよ」
「ユウト…」
私は少し考えた。
話を聞いてちゃんと終わりにするべきかもしれない。
「分かった。元輝…ごめん。
今日は帰って?送ってくれてありがとう」
そう言うと黙っていた元輝が口を開いた。
「無理。俺も一緒に聞く」
「お前には関係ない。
2人で話したいんだ」
「あ?」
今にも喧嘩しそうな元輝を私は必死に止めた。
「元輝!ごめん。電話するから」
そう言うと納得いかない顔で「分かった」といい来た道を帰って行った。