初恋のキミへ。
コンビニの手前で未波の姿を見つけた。
俺は更に早く未波に近づいた。
未波の目は腫れていて、きっと俺がくるから無理矢理泣き止んだんだろう。
「大丈夫か?」
「…うん。ごめんね」
「謝んな。俺が来たくて来たんだ」
「…ん。あり、がと…」
そう言って溜めていた涙を流した未波を俺は思わず抱きしめていた。
「なんかされたのか?」
言葉の変わりに首を小さく振った。
だけどそれが嘘だということに気づいた。
未波から男の匂いがしたから…
「なんかされたろ?
男の匂いがする。なにがあった?」
「……も、とき…あたし…」
「もういい。分かった。今は泣け。
落ち着いたら聞くから」
俺がそう言うとまた「ごめん」と小さく嘆き、未波は俺の中で泣いていた。
こんなに泣いている未波を初めて見た。
そんなに好きだったのか?
ついそう聞いてしまいたくなったけど、それを抑えて泣き止むのを待った。
それから少しして未波は泣くのを止めた。
「ごめ…ありがとう」
「大丈夫か?」
「うん…」
「帰るか?」
「帰りたくない…」
少し弱々しく言う未波が凄く愛おしく感じた。
「俺んちくるか?」
「いいの…?」
「気にすんな。一人暮らしだから」
「そうだったんだ…」
「近くだから。行くぞ」
「うん…」
俺は未波の手を取り、家に向かった。
未波は黙ったまま、悲しそうに俺の手を握っていた。