…好きだったから。



んー、はぁー…。

今日も仕事、決まらなかったなあ…。

肩を竦ませて、とぼとぼと重たい足取りでハローワークを後にする。


アパートの近くのスーパーで、今晩の夕飯の材料を買い出すのが日課となっていた。

「お肉、食べたいなあ…」

ダメダメ。…節約、節約。

お財布にエコな安い鶏ムネ肉を手に取りカゴに入れる。



『遅くなるなら連絡してくれればいいのにっ。無駄になっちゃうじゃん』

23時を回った頃、帰宅してきた聡に声を荒げたわたし。


『ごめん。色々仕事頼まれて遅くなったんだ』

『連絡くらい出来るよね。メールでも、さっと打つ時間くらいあるんじゃない!?』

それまで申し訳なさそうな顔をしていた聡の目付きが一瞬で変わって、面倒臭そうに立ちはだかるわたしの側をすり抜けて行く。


『仕事中にそんなことできないよ。会社では気張って緊張しっぱなしだし、働いてるんだから』

眉間に作った皺は深く、うんざりした様子で聡はネクタイを緩めた。
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