…好きだったから。

『でも、食べないで待ってたんだよ!?』

『先に食べればよかっただろ。ちゃんと食べるからそれでいいだろ?』

『そういうこと言ってるんじゃないよ。もういいよ食べなくたって』

ラップがかけられたお皿たちをテーブルからキッチンに運び、ごみ箱に捨て入れた。


『捨てることないだろっ?ごめんって謝っただろ』

『せっかく作ったのに。…もういいよっ』

『せっかくって、作ってくれなんて頼んでないし。そんなこと言われるんなら、これからは作ってくれなくていいから』

気分悪いから。聡はそう付けたしてお風呂場へと消えた。


ごめんとか、そういうことじゃない。


一緒に食べたかったんだよ…。

疲れて帰って来るのは毎日のことで、わかっていたから少しでも体力つけて欲しくて。

だから、携帯で検索したレシピ覚えて、不器用ながらも毎日欠かさず晩御飯用意して。

お弁当だって、作って。


食べてもらいたかったから。



押し付けがましくて、一方的で小言がうるさくて。

これじゃ、疲れちゃうよね…。
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