俺様の飼い猫。
「笑わなくても!」
「悪い悪い…。」

そう言いながらも、まだくつくつ笑いをこらえたまま。
あたしは、拗ねたようにカウンターに顎をのせてみる。
見つめた先にあった『御堂さんスペシャル』を、名前の本人が手に取る。
そのまま口に運ぶと、しばらくして、のどが上下に動く。

「ん…、飲める。」
「どおも…。」
「まぁ、景司さんが教えたんだから、まずいわけはないけどな。」
「はぁ…。」

そのまま、何度も口に運んで、飲み干した。
空っぽのグラスをあたしは顎をついたまま見つめる。

「何だ。」
「別に…何でもないです。」

見下ろしてくる色素の薄い目。
くっきりした二重だけど、女の子らしい大きな目じゃなくて、横に長い切れ長の目って感じ。

「お前、何時上がりだっけ?」
「何でですか?」
「何時だ。」

無理やりにでも聞くつもりだ。

「9時すぎには上がると思います。」
「あと2時間か…待っててやるから、付き合え。」
「え…、あたしが上がるまで待ってるんですか!?」
「そう言ってんだろ。」

「でも」と続けようとしたのがわかったのか、カウンターに突っ伏したままのあたしの頭をなでる。
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