俺様の飼い猫。
1人暮らし記念におばさんからもらった腕時計を見れば、9時12分。

「日奈、もう上がっていいよ。」
「あ、はい。」

カウンターから声がかかって、あたしはホールで最後のオーダーを取って出る。

「ちゃんと総吾と一緒にね。」
「はぁ…。」

「お疲れさまでした」と一言言って、あたしはカウンターの奥に入って行く。

「それじゃあまたね」御堂さんの声と、「え~まだ一緒に飲みましょうよ~!」っていう女の声が聞こえた。

奥のロッカー室は、ホールの雰囲気を残して黒と赤で統一された部屋。
ロッカー室っていうよりか、店内って言ってもいいくらい綺麗。
景司さんの趣味で作られたみたい。
自分のロッカーの前で、制服を脱いで私服に着替える。
ロッカーの扉に張ってあるシフト表を見て、さっきの女の子たちとのやり取りは思い出された。

「別にあたしなんか待ってても、何もないのに…」

呟くように出た言葉は、ロッカーを閉める音に消された。
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