思い出に変わるまで【完】
ある日突然宗介くんが家に訪ねて来て、

「ご飯食べに行こう」


と半ば無理矢理連れ出されたけど、食欲なんて全くなかった。


「パスタにする?」


優しく微笑む宗介くんに申し訳なくて頷いたけどしばらく歩くと息苦しくなった。


「………っ」


息ができなくて苦しくて宗介くんの腕を掴んだ。


そんな私を見た宗介くんは驚いた顔をして、


「大丈夫だから。ゆっくり息してみて」


ナイロンの袋を私の口に当てた。


どうしていいかわからないまま宗介くんの言う通りにしていると、だんだんと呼吸が治まっていくのがわかった。


「過呼吸になるんだね」


心配そうに「大丈夫?」と言うと、宗介くんが病院に連れて行ってくれた。
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