引き金引いてサヨウナラ
「これだけは分かって欲しい。
僕は美菜を泣かせたいわけじゃない。
つまらなそうな顔をして欲しくもない。
美菜が笑っていられるように。笑顔でいられる世界を守りに、僕は行くんだ。
……あとは、秘密」
「秘密ってなに?」
トクトクと少しだけ早い鼓動を聴きながら、美菜は小さく呟いた。
叶の温かな体温と、優しい鼓動に、涙が少しずつ引いていく。
「言うと、つらくなるから、秘密」
叶の声が空気を伝い、体を伝い、美菜の心に届いた。