引き金引いてサヨウナラ


つらくなるのは誰――?


美菜には訊けなかった。


優しい叶が言わないと決めたなら、訊かない方がいいんだろう、と結論付けた。


きっと、つらくなるのは、私――


でも、隣に叶がいてくれるから、世界は色付くのに。


「叶が行ってしまったら、私の世界はモノクロに戻ってしまう」


縋るだけ、つらくなるとわかっているけど、私はそんなに大人じゃない。


「いちど覚えた色は、色褪せることはあっても、失われることはない……無理矢理に、奪われなければ」


きっと叶は、それすら見越している。


なんとなく美菜には予想出来た。


だからこそ、わざわざ『秘密』と言ったんだろう。


でも美菜は敢えて言った。


「叶。私の想いも『秘密』にしなければいけないの……?」


< 148 / 221 >

この作品をシェア

pagetop