引き金引いてサヨウナラ
つらくなるのは誰――?
美菜には訊けなかった。
優しい叶が言わないと決めたなら、訊かない方がいいんだろう、と結論付けた。
きっと、つらくなるのは、私――
でも、隣に叶がいてくれるから、世界は色付くのに。
「叶が行ってしまったら、私の世界はモノクロに戻ってしまう」
縋るだけ、つらくなるとわかっているけど、私はそんなに大人じゃない。
「いちど覚えた色は、色褪せることはあっても、失われることはない……無理矢理に、奪われなければ」
きっと叶は、それすら見越している。
なんとなく美菜には予想出来た。
だからこそ、わざわざ『秘密』と言ったんだろう。
でも美菜は敢えて言った。
「叶。私の想いも『秘密』にしなければいけないの……?」