引き金引いてサヨウナラ


「守るよ、美菜の世界を」


そう言って、叶は静かに微笑んだ。


戦争に行くのは怖い。

死にたくない。

だが、仁の遺志、弘の無念をおもんばかる。

ここで投げ出すのはもっと嫌だと思った。


そして、守りたいと思う存在が、自分を何度でも立ち上がらせてくれる。


「美菜の世界を変えたのが僕だというのなら、美菜の世界を守るのも僕でありたい」


美菜は、そんな叶にぶつけるように言葉を投げつける。


「私、いやだよ!
弘があんな風になって……
もしこれ以上、叶までっ……」

< 209 / 221 >

この作品をシェア

pagetop