引き金引いてサヨウナラ
美菜は部屋へ行くと、まだカーテンを閉めていなかった窓をぼんやりと見つめた。
ガラスに映る自分の顔と部屋に近付き、カラカラと窓を開ける。
陽が長くなったとはいえ、時間が時間のために外は暗くなっていた。
おぼろげに浮かぶ月と満天の星に、ふと、叶もこの空を見ていたらいいのにと思う。
都会では、ネオンに照らされた昼間のごとき空があるかもしれないが、美菜はもう羨ましいとは思わなかった。
山も、川も、美菜が幼いころにきれいだと思ったこの景色を、また叶と歩きたい。
この町に何もないのではなく、自分が見ようとしなかったのだということが、今ならよくわかる。