がんばれ!ノザワくん
その直後、

 TRRRR… TRRRR…

また電話だ。もしかして、ノザワくん?

「あ、また電話!」

よねちゃんが出ようとしたら、ちょうど戻ってきたはとりんが出た。

「ヨネヤさん、ノザワ課長からです」

よねちゃんが電話に出ると、

『あ、よねちゃん、元気~?』

と、いつものノリのノザワくん。

「さっきから、私が出る前に電話切るの、やめてくださいってば」

『え?そうだったの?ゴメンゴメン』

で、ノザワくんの本題は…

『産休中のカノウさんの書類、本社が送ってくれって言うんだけどさ』

品質管理の社員・カノウさんは、8月から産休に入っている。本社から、年末調整の話があったので、はとりんが手配して、よねちゃんが送ってたよな。

「それでしたら、昨日送りましたよ。今日届いてるんじゃないですかね」

『いや、今、俺のケータイに、総務のキセ課長から電話があって、健康保険の現況届も出さないといけないから、その書類も送ってくれってさ』

「は?」

『俺に送るって言ってたけど、緊急らしいんだ。俺は今日は戻らないから、よねちゃんのパソコンにメール送るように頼んどいたから、よろしく』

「は!?ちょ、ちょっと、ノザワ課長…」

…電話は切れた。

「普通、そういう書類は、ハットリさんに送るでしょ」

よねちゃんは、半分呆れたように、そう呟いた。
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