四季〜二人で歩む季節〜


焼鳥屋さんに入って小一時間、あたし達は他愛のない話をしてお店を出た。


タクシー乗り場へと向かって歩いていると、あたしの足が止まってしまう。


視線の先には、あたしと同じように足を止めた、痩せこけたレンが立っていた。


もちろん、レンの腕に絡み付くように隣には女の姿。


ズキッと、またあたしの胸が痛む。


レンが他の女といる姿は、何度見ても慣れる事が出来ない。


「レン?
どうしたの?」


甘ったるい声を出して、女はレンを見ている。


「いや。」


小さな声で返事をし、レンはあたしの横を通り過ぎて行った。
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