四季〜二人で歩む季節〜
「すごい人だね。」
ここまで来るだけであたしはすでに疲れていた。
「それにしても綺麗だね。」
「頑張って場所取りしたんですよ〜。」
あたしが住んでいる場所は、春と言ってもまだ寒くて5月の連休ぐらいがちょうど桜が満開になる。
「真琴、遅いね。」
あたしは桜を見つつ、早くビールが飲みたくてウズウズしていた。
「遅くなってごめーん。」
その声に振り向けば、真琴とことちゃんが立っていた。
「いや〜、迷子になるかと思った。」
手に下げていたバスケットをシートの上に置き、真琴はことちゃんの靴を脱がし始めた。