四季〜二人で歩む季節〜


そういえば、以前買い物に付き合ってと言われて買いに行った車は先日納車されたばかり。


あたしはレンの香水と煙草が混じり合った匂いが好きなのに、車内はまだ新車特有の匂いがする。


「夏になったらどっか旅行でも行くか?」

「えっ?」


事を終え、いつものようにレンは煙草に火を点けて、あたしはその胸に頭を乗せた。


「たまには現実逃避したいなって思ってさ。」

「いいね。
行こうよ。」


口だけかもしれない。


でも、行けたらいいなって少しだけ楽しみだった。


そして、レンは一睡もする事なく、夜が明けた頃帰っていった。
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