KEEP OUT!!
 ばんっ、と机を叩いて勢いよく立ち上がる。

「こんなの“らしく”ない!」

 そうだ。

 無限ループに自ら頭を突っ込んでこころのダイエットをするような不健康極まりないことは性分じゃない。

 自分勝手上等じゃないの。

 思いやりなんて言葉で演じる悲劇のヒロインなんて、わたしにはそもそも無理だ。

 らしくない。

 性分じゃない。

 好みじゃない。

“がら”じゃない!

 ひらひらドレスにガラスのピンヒールでしくしくめそめそするくらいなら、青春の紅い夕日にスニーカーを投げつける方がよっぽどわたし向きだ。

「よしっ!!」

 わたしは手早く荷物をまとめると、全速力で美術室に向かった。

 わたしに出来ること。

 八重ちゃんに負けないもの。

 最高の自分を見せつけられる最強の手段はこれしかない。

「失礼します!」

「はいいらっしゃい日下さ──ど、どうしました? そんなに慌て」

 部屋に入るやいなやガタガタとカンバスをイーゼルに立てかけて、その前で腕組みをするわたしに驚く宮脇先生。

「先生!」

「は、はい!?」

「わたし、やっぱり先生は間違ってないと思います!」

「は、はい?」

 うん。

 そうだ。

「間違いって、それだけで判断するものじゃないと思うから。最後にお腹の底から笑ってられれば、結局間違いじゃないと思うから」


< 139 / 222 >

この作品をシェア

pagetop