猫と僕と
「じゃあさ……今の凜は何だって話すんだ?そんな冗談、度が過ぎてる…」


凜は僕の話しに耳を貸すこともなく涙を拭いながら続けた。



「ある日ね、駅にいたの。そうしたらホームに見覚えのある後ろ姿を見付けてね、嬉しくて嬉しくて……走った。でも、お父さんもお母さんも私には気がつかなかった。と言うか見えてなかったのね……辛かったぁ。こんなに近くにいてもなぜかお母さん達には見る事も話すことも許されないんだもん。夜中までたくさん泣いたの。」






あっ…




あの日聞いた泣き声ってこの時なんだ。



やけに信憑性がある凜の話しに、僕は少しづつ疑いの心が消えていった。



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