猫と僕と
「いいよ、わかった…だから!」

「聞いて……」



凜の真剣な顔を目の前にして、僕は話すことをやめるしかなかった。



「お腹……減らないんだ。食べる気がしないの。食べても味なんかわかんなかったの、食べても食べても減らないの……私、何も食べられないみたい…」

「………。」

「それにね、私の生きる範囲はこの街だけ。電車に乗ろうとホームに行くと、一気にアパートまで引き戻されるの。」

それって…だから駅で見つけられなかったんだ。



何だか、この短時間で今まで不思議だった出来事が一気に繋がった気がした。



真実を知ってしまった気がした。


きっと、今、僕の顔は顔面蒼白と言ったとこだろう…もう言葉を発する気力さえ残っていない。




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