准教授 高野先生の個人授業
過剰な演出などとは無縁の彼女の静かな感じが好きだ。
普段よりも僅かに荒い息遣い、時折漏れる甘い吐息、じっと堪える切なげな表情・・・。
しっとりと言えばしっとり、だけどまあ、あっさりと言えばあっさりとも・・・。
ずっと瞑っていた目を開けて躊躇いがちに僕を見ながら、彼女が言葉を紡ぎはじめる。
「あの・・・」
僕は手を止め、彼女の言葉に耳を澄ます。
「ん?どうしたの?」
「・・・・・・」
けれども彼女はそのまま口を噤んでしまい、首をふるふる横に振るだけ。
“なんでもない”と、まるで何かを打ち消すように、掻き消すように・・・。
「詩織ちゃん?どうもしないの?」
「・・・・・・」
無論どうもしないわけもなく、彼女はやっぱり全力で僕にかぶりを振って見せる。
頑なにぎゅっときつく目を瞑って、まるで子どもがイヤイヤするように・・・。
それにしても、僕のこの底意地の悪さといったら・・・・・・我ながらまったくイイ性格だ。