准教授 高野先生の個人授業

過剰な演出などとは無縁の彼女の静かな感じが好きだ。

普段よりも僅かに荒い息遣い、時折漏れる甘い吐息、じっと堪える切なげな表情・・・。

しっとりと言えばしっとり、だけどまあ、あっさりと言えばあっさりとも・・・。

ずっと瞑っていた目を開けて躊躇いがちに僕を見ながら、彼女が言葉を紡ぎはじめる。

「あの・・・」

僕は手を止め、彼女の言葉に耳を澄ます。

「ん?どうしたの?」

「・・・・・・」

けれども彼女はそのまま口を噤んでしまい、首をふるふる横に振るだけ。

“なんでもない”と、まるで何かを打ち消すように、掻き消すように・・・。

「詩織ちゃん?どうもしないの?」

「・・・・・・」

無論どうもしないわけもなく、彼女はやっぱり全力で僕にかぶりを振って見せる。

頑なにぎゅっときつく目を瞑って、まるで子どもがイヤイヤするように・・・。

それにしても、僕のこの底意地の悪さといったら・・・・・・我ながらまったくイイ性格だ。

< 43 / 55 >

この作品をシェア

pagetop