『契約』恋愛
「…それにしてもさ、よかったの?」
不意に凛が放った言葉で、私の意識は現実に引き戻された。でも、凛が何について聞いているのかがわからない。聞くときにはちゃんと、主語くらいつけてほしいもんだわ。
「何が?」
「だから、佐山君だよ佐山君!
一緒に昼食べるんじゃなかったの?」
――あぁ、そのこと…。
あの日から私は、晴れた日にはいつも屋上で佐山君と昼を食べている。それなのに今日は凛と教室で昼を食べ、それから屋上に来ているから。
凛が不思議がるのも無理はない。