ケイカ -桂花-
宗教って、それだけでほとんどの人はかなりの抵抗を感じる。

あの宗教はインチキだって事もみんなが知ってる。

だから、自分は信じてない、って最初に言い切ってその抵抗を和らげる。

その上で、誰でも持ってる、寂しい、心が満たされない、につけ込む。

Dは私を勧誘しようとしているんだ。


「私は入らない、絶対に」

苛立ちを抑えて、私はきっぱりと言った。

『・・・ふーん。じゃあもう太郎ちゃんとは会えないね、永遠に』

完全に見透かされた言葉だった。

Dに真実を教えてあげよう、そう思って電話をした。

もしかしたら自分がDになっていたかもしれない、Dの姿に自分が重なったから。

でも本当は、宮崎の転校の事を聞きたかっただけ、なのかも知れない。
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