ケイカ -桂花-
もう、かける言葉が見つからない。

せめて少しでも宮崎が楽になる様な事を言ってあげたいのに、私の頭も口も動かない。

私達の間には越えられない高い壁が、埋められない深い溝が横たわっている。

その事実が重くのしかかる。

とてつもなく大きく感じるのは、私が15歳の子供だからかもしれない。


「桂、ごめんな」

宮崎は冷静さを取り戻していた。

「なんで謝るの?」

「俺があの時話しかけなければよかった。つきあおうなんて言わなければよかった」

「そんな事ないよっ」

「そうなんだよ。桂のこと勧誘はしなかったけれど、どっかで入ってくれたらいいなってずっと思ってた。だから、ごめん」

そんな事バカ正直にいわなくて言いよ。

そうしてたらこんな思いしなくてすんだかもしれない、って思っちゃうじゃん。

Dやマミの事を羨ましいって思っちゃうじゃん。
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