ケイカ -桂花-
『ハナ』

きりっとした声が体の奥まで響いた。

何度もケイの口から発せられた私の名前。

今のケイの顔がはっきり想像できた。

手を伸ばしたらそこにケイがいるみたいに感じる。

初めて家のリビングで私を見た時光った瞳、公園でライターの火が浮かび上がらせた彫刻みたいな顔、1年越しのリベンジを果たした時の笑顔・・・。

ケイの顔は、時に力強く美しい。

その美しさは、ケイ自身の生き方そのものを映したものだ。

生き方とかポリシーとかそういう物が表に現れた時、美しさが光る。

今、そうやって美しさを放っている。


分かった、幸せになるよ。


きっと。

絶対に。


どこかの空港で受話器を握り締めているケイに誓った。
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