ケイカ -桂花-
『ハナ・・』

「なに?」

『幸せになってね』

「は?」

なにその別れの言葉みたいなの。

それも永遠の別れみたいなの。

『女の子は絶対幸せにならなきゃいけないの』

「絶対って・・」

『絶対よ。何があったって、世界で一番不幸だっていう時にも、幸せの方を向くの。
一瞬だって目を逸らさないで、近づいて、手に入れる』

「幸せなんて、分からないよ。どこにあるのそんなの」

『ううん、分かってるはず。
幸せって、太陽とか月みたいに見上げればそこにあるものだから。それが遠くたってどこにあるかは分かる』

「私は、・・私はケイがいてくれたら、それで幸せだよ。だから・・・」

どこにも行かないで。

どこにも行かないで、また元通りに店やってよ、私毎日行くからさ。

毎日、働いておしゃべりしてお茶飲んで。

それが私の幸せなんだよ?
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