ケイカ -桂花-
木から手を離し、頬を拭う。

大きく深呼吸をして涙が止まったのを確認すると、1歩ずつゆっくりと後ずさりしていく。

キンモクセイはさっきと変わらず、ひっそりと立っていた。

月明かりに照らされ、小さなオレンジの花が無数に輝いている。

ああ、そっかケイの髪は金色じゃなくて、この色なんだ。

オレンジ色、キンモクセイ色だ。

私はキンモクセイに小さく微笑みかけ、上を見上げる。

ちゃんと手順は踏んだ。

ちゃんと自分の気持ちを大切にして。

次は、幸せを目指すよ。

目を逸らさずに。


私の目の先には、まん丸な月が明るく輝いていた。






END

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