ケイカ -桂花-
「冷てーー」

宮崎は勢いよく出した蛇口の水に、直接頭をつけて豪快に洗うと、犬みたいにブンブン頭を振って水滴を飛ばした。

その水滴がキラキラ光りながら私の頬に次々と当たった。

「冷たいってーー」

私がよけると、ムキになって頭を振った。

「さっき笑った仕返しだっ」

「やだーー」

私達は、周りにいるどの子供達よりも騒いで、誰よりも大きな声で笑い合っっていた。

宮崎の髪から水が飛ばなくなると、水道から出した水を手で飛ばした。

「キャー、それ、ずるくなーい?」

「逃げんな、桂」

「宮崎ー」

「今更あやまってもムダだぞー」

「私、・・・あう・・よ」

「なにー?」

「私、宮崎とつきあうよっ」
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