ケイカ -桂花-
「えっ・・・」

急に動きを止めた手から水が流れ落ちた。

パシャっと水しぶきがはねて、太陽を吸い込んだ白い光を振りまく。

「ホントに・・?」

「うん」

「ホントに、ホントに?」

「うん」

騒がしかった公園が、時が止まったみたいに静かに感じた。

そして、次の瞬間、

「やったーーーー」

宮崎の声が響いた。

すぐ耳元で・・・。

抱きしめられた、というより、抱きつかれていた。

それはホンの1、2秒。

パッと離れて「ごめん・・つい」と真っ赤になって下を向いた。

自分でやったくせに・・・、思いながらも私の顔も赤い。

一瞬だったけれど、ひんやりした手の温度が背中に残ってる。

捲り上げたシャツの袖から伸びた腕は、意外にも見た目に反して筋肉質だった事も目に焼き付いた。
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