Je t'aime?
私は今まで、祐太にだって誰にだって、こんなに真っ直ぐ、じっと見られたことがない。
吸い込まれそうになって、やっとの思いで下を向いた。
心臓が、ヘビメタのドラムみたいにバクバクいっているのを感じた。
私が日本人だからなのか、若いからなのか。
免疫がなさすぎて、動揺しまくる。
下を向いているうちに顔の熱を冷まそうと思った矢先。
「怜奈?」
紗江子が心配そうな声で覗き込んできた。
「どうしたの?大丈夫?」
「あ、平気。なんか、笑いすぎて頬が痛くなっちゃった」
私は、真っ赤(であろう)顔を両手で挟んで、適当に言いつくろった。
「なーんだ!びっくりさせないでよー」
「顔真っ赤じゃん。どうしたんだよ」
「ほんと、笑いすぎただけ!気にしないで」
手をパタパタやって風を送ってみるものの、効果はなかった。
「だいじょうぶ?」
「えっ?」
私がこんなに焦っているのに、なんとウジェーヌくんまで、心配そうにしている。
誰のせいかも知らないで。
でも、フランスではこんなの日常茶飯事なのかも。
…外国人って…すごい…。