Je t'aime?



「ね、どうしてウジェーヌくんは日本語を勉強しようと思ったの?」



ウジェーヌくんは、食べ慣れないザーサイと格闘しながら、ちょっと顔をゆがめて、ん~、と斜め上を見た。



「ぼくが小さいころ、近所に日本人がいました。とても好きな人でした。その人は、日本語教室の先生でした」



ゆっくり、しっかりした発音で丁寧に話すウジェーヌくんを見ていると、私も普段の話し方を見直さなくちゃ、という気になる。



「へぇー、それは俺も初耳」



「じゃあ、一大決心というよりは、自然な流れで教室に通うようになったのね」



「いち…?」



「いちだいけっしん。あとで辞書で意味を調べるといいわね」



おばさんが、いかにも親のように言った。



「はい」



素直に返事をするウジェーヌくんと、知らんぷりで料理にがっつくガミくんの周りに流れる空気は、家族そのものだった。



ホームステイって素敵だな。



私もいつか…。



~♪~♪♪







あれ?



このメロディ、私だ。




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