光を背負う、僕ら。―第1楽章―
班は伸一君とあたし、そして伸一君の隣りの真奈ちゃんと、あたしの隣りの達也君で構成された。



正直言ってこの時、気持ちは複雑だった。



伸一君と同じ班になれたことは嬉しい。



でも真奈ちゃんと伸一君が同じ班ってことは、正直嫌だった。



だって、真奈ちゃんは伸一君が好きだから…。



真奈ちゃんが伸一君を好きだということを知らなかったら良かったのだけど、それは過去に聞いたことがあったのでどうしようもないこと。



あたしは伸一君の隣りの席になれた真奈ちゃんがうらやましくて、少し妬いていた。



でもその肝心の席替えの日、真奈ちゃんは風邪で休んでいた。



代わりに真奈ちゃんの分のくじを引いたのは、女子の学級委員である美波ちゃん。



だからあたしは、真奈ちゃんを伸一君の隣りの席にした美波ちゃんを、少し恨めしく思ったりもした。



どんな風に思ったって、どうしようもないこと。



だけどちょっとしたことでも気持ちが動いてしまうのが、恋なのかな……。




「じゃあみなさん、班のみんなで机を引っ付けて、班ポスターを書きましょう。班長と副班長が決まった班から、ポスターを書く紙とマジックペンを教卓の所に取りに来てください。」





< 130 / 546 >

この作品をシェア

pagetop