光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「ん、どうした?」




達也君が振り返って、伸一君に尋ねる。



だけど伸一君はそんな達也君に目もくれずに、真直ぐあたしを見てきた。




えっ……。




伸一君と達也君の会話についていけなくて、ただボーッとしていたあたし。



そんなあたしはいきなり伸一君にこちらを見られて、固まってしまう。




なっ、なんだろう?




そう思っていたら、伸一君が口を開いた。




「佐奈は、班長とか副班長やりたい?」



「えっ、あっ、えっと…。特にやりたいとは思わないよ…。」



「俺が班長で、達也が副班長やるけど、いい?」



「…うん。」



「そっか。じゃあ達也、紙とマジックペン持ってきてくれ。」



「はいはい。」




一度立ち止まった達也君が、そう言って再び歩き出した。



伸一君は、他の班の友達とじゃれ合いながら喋る。



あたしはただ頬をほんのりと赤く染めて、固まっていた。




ドキン……ドキン…ドキン……




鼓動の早さが早まったことを、体で感じた。




すごく、緊張した…。




赤く染まった顔を伸一君に見られないように、伸一君が向いている方向とは逆の方を見た。




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