光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「…で、誰が書く?」




伸一君の言葉で、班の中に沈黙が流れた。



そんな沈黙に耐えられなかったのかして、達也君が素早く口を開く。




「伸一が班長なんだから、お前が書けばいいじゃん。」



「いや、だって俺、字下手だぜ?」




苦笑いする伸一君。


また沈黙が流れた。



けど、またその沈黙を達也君が破った。




「そんなの別にどうでもいいって。」



「でも、班ポスターならちゃんと書きたいじゃん。そうだ!達也が書いてくれよ。俺よりはマシな字だろ?」



「なんでそこで俺が出てくるんだよ。」



「だって達也、副班長だろ?」



「だからってなー…。」




二人の会話は、なかなかまとまろうとはしない。



あたしはただ二人の飛び交う会話を、呆然として見ていた。




その時だった。



伸一君がひらめいたというような表情を見せて、こちらを見た。



キョトンとしているあたしに、伸一君はとびきりの笑顔で話しかけてきた。




「そうだ!佐奈が書いてくれよ?」



「「えっ?」」




あたしと達也君の驚きの声が、見事に重なった。



二人で顔を見合わせた後、そろって伸一君を見る。




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