光を背負う、僕ら。―第1楽章―
「サンキュー佐奈!佐奈の字、十分上手いぜ。じゃあ、さっそく頼むな。」




あたしにポスターを書いてもらうために、あたしの字を褒めたのかもしれない。



それでも伸一君が自分を頼ってくれたことが、あたしはとても嬉しかったんだ。



伸一君の言葉だから、すごくそう感じた。



好きな人の言葉ほど、あたしを幸せにしてくれるものはないね…。




あたし伸一君から紙を受け取り、筆箱から鉛筆を取り出して書き始めた。



紙の中央、一番上に大きく【5班】と書いた。



緊張して、手が震えていた。



だけど精一杯自分の役割は果たしたくて、必死に書こうとする。



続いて紙には、【メンバー】と項目を書いた。



そこで一度、手を止めた。




「あの~。」




そう言いながら顔を上げたら二人があたしを見ていて、そのことに驚く。




みっ、見られてたんだ…。




少し緊張した趣で、あたしは二人に尋ねる。




「伸一君と達也君は、自分の名前は自分で書く?」



「うーん、俺はどっちでもいいよ。」




先に答えたのは達也君だった。




「じゃあ、あたしが書こうか?」


とあたしが言うと、


「おぅ、そうして。」



と達也君が答えた。



次に伸一君の意思を聞こうと、伸一君を見る。




< 136 / 546 >

この作品をシェア

pagetop